酒気帯び運転というのは禁止です。
飲酒量によっては死亡事故よりも重い違反点数が付いてしまいます。
免許取消から軽減される可能性という意味でいえば非常に低いとはいえ
運転せざるを得ない事情があったり、運転後相当な時間が経過していたりする場合、あるいは処分軽減の特例に該当している場合などで軽減される場合もあります。
しかしながら
特に理由もなく、ましてや運転しながら飲酒するなどというのはやはり言語道断と言わざるを得ません。
それを踏まえて本日の主題。
高齢者や足の不自由な方の乗り物として
『電動車いす』というのがあります。
これは基準を満たしたものについては車いすも電動車いすも歩行者として扱われますが、
この規定の趣旨はもちろん車道を通行すると危険だからです。
さて、この電動車いすに関して警察庁は公式サイトの中で電動車いすの安全利用に関するマニュアルとして
【電動車いすで飲酒ダメ】というページを作って飲酒状態での車いす使用を控えるように呼びかけていますが、これは『法律上禁止』と言ってるのではなく《危険ですからやめましょう》と注意喚起をしているのです。
ところがこれに噛み付いたのがとある障害者団体で、どうやらその趣旨としては障害者の権利を侵害しているのだそうです。
なんでも国際条約である障害者権利条約や、傷害者差別解消法という法律に照らし合わせても不当だと主張しています。
・・・しかしこの条約も障害者差別解消法も禁止しているのは『障害を理由とした差別』で正式な名称も《障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律》です。
そして、このマニュアルで呼びかけているのは【公共の安全のため】で障害を理由とした差別ではありません。
この団体の抗議文を見てみると、ビール工場などでの試飲を断られたりすることが最近多く、その不満が発端のようですが、主張の本旨としては「歩行者なんだから飲んでも良いだろ!」というものです。
しかし『法は道徳の最小単位』などと言いましてルール的にOKだから何やってもいいという主張は形式的にはOKでも社会的にはNGです。
つまり今回某団体は「我々は歩行者だ!」と主張していますが本来の意味の歩行者ではなく『歩行者として扱われている乗り物』であり、大きくて重い物体を操作している状態ということになります。
例えばバイクを押して歩いている人は歩行者として扱われますが、酔っている人が大きなバイクを押して歩こうとしたら誰だって「危ないからやめとけ」というでしょう。
今回のマニュアルも「危険だから控えましょうね」と言ってるのであり、試飲を断ったビール工場の人達も試飲が死因になってはたまったもんじゃないと思ったからでしょう。
権利を主張するのは自由ですが、主張された相手にだってその主張を受け入れる権利があります。
言い方には語弊がありますが、家で飲んだ後外出時に運転する、あるいはお店で飲んで帰ってくる時に運転しても即座に違法ではないですから、それ以上を求めるのは増長と言われても仕方ないと思います。
ちなみに電動車いすの事故件数は警察庁発表で年間約200件前後ですが、この数字は横断中に車と衝突したものなど比較的大きな事故の統計であって、歩行者との衝突や電動車いす同士の事故、あるいは自損事故に関しては交通事故統計には含まれていませんので、数字に表れない事故件数が多数あることも警察庁は指摘しています。
また内閣府では障害者差別解消法推進の一環として、障害のある方への合理的配慮を社会に対して求めていますが、合理的配慮は特権という意味ではなく、安全に対する責任の大きさに障害の有無は関係無いのです。
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