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免許取消軽減ブログ

2019.05.17更新

本道から外れるほどにリスクが増す

ここ数日、タレントの高田純次氏の交通事故の話題で持ちきりですね。
当初は当て逃げと報じられていたこともあって「被害者が怪我してるんだからひき逃げじゃいか!」とか、有名人だとひき逃げと報じられないのはなぜか?のような何らかの特別扱いを受けているのではないかという声、示談交渉の不手際、かと思えば被害者側にも当たり屋疑惑が生まれるなどなんだかあらぬ方向にも広がりを見せています。

※続報で警視庁の見解として『当て逃げの事実はない』と発表されてますね。

というわけで、行政処分を業務として取り扱っている立場からいろいろ書いてみたいと思います。

ただ、僕も当事者ではないので報道などで見聞きできる部分での判断ということになります。

まず『当て逃げ』と報じられている部分についてですが、もの凄くざっくり分けると人身事故はひき逃げ、物損事故は当て逃げです。
そして人身事故は被害者が警察に診断書を出すことによって『負傷の立証』となって人身事故として完成します。

つまり怪我をしていたとしてもその時点で警察に診断書が出されていない場合は【状況としては人身事故でもまだ完成していない状態】ということもあり得ます。
また事故が夜間で大した怪我でもなく、翌日病院に行けばいいと思っている場合や、病院には行ったけどまだ診断書を出してない場合も珍しいことではありません。

そこで高田氏が現場で20万円払って示談にしようとしたといのは『人身事故にしないでお互いの話で終了する』という、本当はダメですが実務上はよくある話をしようとしていたということで、保険会社も軽傷であれば人身事故の届けを出していなくても人身の補償をしてくれることも珍しくありません。

ただそれでも一旦は警察に届けた上で話すべきですので被害者への当たり屋疑惑もこの辺りが発端ではないかと思います。
なお、被害者の怪我が胡散臭いという声もあるようで、実際被害者の怪我が不自然な事故というのは非常に多いです。
というか治療期間などから言えばむしろ胡散臭くない被害者というのは1割もいないと思いますので、大なり小なり負傷の程度を盛る被害者というのは・・・極論すれば保険金詐欺みたいなもんでしょうけど減価償却などで車の修理代も満額出なかったりする現実でいえば被害を補填するという部分ではある程度は許される範囲だと思います。

まぁ加害者側の依頼を受ける立場からだとそういう人はある意味敵なんですが、利害の一致で御依頼者様の処分軽減に協力してくれることもありますので、やはりどんな状況であっても御依頼者のプラスに転用できるのが真の法律家だと思います。

また、ひき逃げかどうかは負傷の事実があるかどうか、つまり無か有かが境目ですので、怪我をしているという主張自体が嘘でない限りかすり傷でもひき逃げはひき逃げです。

次にひき逃げという犯罪は現場からの逃走によって完成しますが、高田氏は接触の認識が無かったと当初主張していました。
これは『接触の認識が無い⇒事故という認識が無い⇒現場を離れた行為は逃走ではない⇒事故後の行動はひき逃げではない』という法的構成になります。
実際あまりにも小さい事故の場合は事故という認識が無かったとしてひき逃げにはならないこともあります。

そして被害者への疑惑の中で事故後数時間も交渉しているのに警察を呼んでいないというのもあります。
あまり知られていませんが、事故を報告する義務というのは被害者側にもありますし、法条文にも『直ちに』とありますので、この時点で被害者の行動も厳密にいえばあまりよろしくないんですが、もっと不思議なのは修理代+100万円まで出すと言われているのをつっぱねていたり、報道では『慰謝料1000万円という話も出たが』という言い分もあり、この1000万円というのがどういう経緯でどちらから出たのか、そもそもあったのかどうかも定かではありませんが、事故の規模や診断書では2週間という治療期間の怪我から言えば、被害車両の状況は分かりませんが満額の修理代+100万円というのは破格です。

その後高田氏側が弁護士を入れたことに不信感を持っているということですが、被害の請求だけで過失割合もそれほど揉めなさそうですので相手に弁護士が入ってもそれだけなら不信感を抱く理由になるとも思えませんが・・・まともに謝罪しないことに憤慨することもありますので「銭金の問題じゃない!」となったのかもしれません。
・・・だとすると最終的に受け取った賠償額が妥当な範囲に収まればなるほど義憤に駆られたと言われても納得です。

さて、被害者の当たり屋疑惑ですが、僕はよく言うことですが当たり屋とストーカーは多くの場合『いる』のではなく【なる】ものです。
そういう意味では今回の被害者はもともと存在する《完全プロの当たり屋》ではないと思います。

なぜなら前述のようにひき逃げは被害者が診断書を提出して人身事故になったことによって完成します。
ただし非常に大きな事故だったり現場から救急車で運ばれて警察も状況を把握している場合に被害者からの診断書提出が無くても病院から取り寄せてひき逃げになることはあります。
しかし今回のような軽傷であれば被害者が人身事故にしないと言えば当て逃げ止まりで違反としても大した処分にはなりません。
そして追いかけて捕まえてその場で話しているのであれば、ひき逃げになることもありますが、停止できるところまで2台で移動していたとしてひき逃げにならないこともあります。
もちろん当て逃げにもならないこともあります。

ここで余り手口を詳しく書くと模倣犯も出るかもしれませんが被害者を無くすためにあえて書くと御理解いただきたいところで、プロの一例として一旦現場で話しあった後「ケガも大したことないし・・・もういいよ」みたいなことを言って加害者に現場から離れさせ、その後に「話してる途中で逃げられた」と通報します。
その後「僕が診断書出したら貴方ひき逃げになりますよ、点数だと40点くらいかな?お仕事とか大変ですよね?僕はどっちでもいいんですよ・・・おや?芸能人の方でしたか?イメージとか大変ですよね・・・まぁ僕は本当にどっちでもいいんですけど(笑)」という感じで大金をせしめるという手口です。
またこの事故の被害者は示談交渉の様子を文春に流していますが、ガチプロならそれも含めて脅迫するはずですので、事故の後に金銭面か話題面か「この事故は美味しい」と思ったかもしれませんし、事故後の行動も後発的当たり屋を疑われても仕方ない面もありますが、個人的にはプロの当たり屋が芸能人を狙った事件ではないと思います。

事件の真相は分かりませんし根本的に高田氏の対応はアウトですが、法学には《クリーンハンズの原則》というものがあり、意味は『法律は、法律を守るものを保護する』という意味で、本来のルールから離れる行動にはそれだけリスクが伴うということでもあるのです。

今回の事故については加害者被害者双方とも『本来あるべき行動』ではないことを選択してしまったがために余計な負担を背負ってしまったということですね。

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投稿者: 内村特殊法務事務所

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