本日ご紹介します漫画はこちら、
ある意味歴史的大問題作

『相原コージの　なにがオモロイの？』です。

さて、
相原コージといえば代表作は『かってにシロクマ』が世間一般の評価だと思います。
カテゴリー的にはちょっとシュールというか・・・良く言えば意欲的かつ挑戦的、悪く言えば極端に読み手を選ぶ作品群ですね。

ちなみに僕は好きで、特に『真・異種格闘大戦』は動物バトル漫画の名作だと思っています。

そして今回の作品ですが、
まず、普通の漫画作品としては読まない方が良いと思います。

というのもこの漫画は
久しくブランクのあった相原コージ氏がギャグ漫画が描けなくなった・・・というか面白いギャグとはなんだろうと考えたことに端を発し、毎回一本の漫画を描き上げてWEBに掲載、それを直接読者への出口調査やネットでのアンケートで書評を募り、最大公約数的に誰もが笑えるギャグ漫画をある意味現地調達的なノリで生み出していこうという実験風漫画です。

しかしとりあえずの手始めの第一回から読者のアンケートは中々に攻撃的というか・・・後半を知っているとまだこの辺は単に面白いか面白くないかの感想ですが、回を重ねるごとに今で言う誹謗中傷や人格攻撃に発展し、やがて相原コージ氏も当初の傾向の摸索から感情的な反発になり、とうとう壊れてしまいます。

その時のページはちょっと・・・商業作品としてこれを載せて良いのか？と不安になるほどで、その後平静を取り戻した相原氏は「もう誰の意見も聞かない」と当初のテーマも投げっぱなしになりますが、それでも作品自体は続きます。

例の問題回の影響か人格攻撃や誹謗中傷は多少マイルドになってはいますが、なんか・・・全体的に温度が下がってるというか、読んでて辛くなってきます。

そんな感じでエンディングまで進んでいくんですが、僕としては数本面白いと思える作品はあったものの、実験的な構成という意味もあってか正直なところこの単行本自体の感想を聞かれれば『そんなに面白くなかったしお勧めもできない』と答えます。

しかし別の意味で、心無い言葉に晒された時に人がどうなるのかとか、もちろんその流れも含めてブラックなジョークだとしてもちょっと笑えない・・・というか笑うことが許されない雰囲気になってしまいます。

もしかしたら舞台演出なのかもしれない、リアリティショーなのかもしれない、
実際のところそれは分かりませんし作中で真意が描かれることはありませんが、僕はこの漫画は逆張りホラーとして悪い意味で後世に語り継がれる問題作ではないかと思います。

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