今もそうなのかなと時々思うんですが、
小学校高学年から中学生に上がった頃、
あるいはごく軽い中二病、の少し手前くらいの時期ですかね？

心霊スポットなどに行くとなんとなく何かを感じたり、
あるいは何かがあってほしいと思ったり・・・
少し不思議な空間が日常の隣にあった時代って誰しもあったと思うんですよ、でもそれは本当に普通の日常の延長でしかなかったり、あるいはそれでもほんの少しだけ心に引っかかりが残ったり、それを誰かと共有することで単なる記憶は思い出にタイトルを変えていく・・・そんなそこはとない空気感が心地よいこちら

『ゆうやけトリップ』です。
主人公は新聞部に所属する中学2年生の女の子『蜷森茜(になもりあかね)』、小さな町の中学校で話題に上る心霊スポットの取材を帰り道だからという理由で取材に行ってくるように言われますが、そういったオカルト系に弱い茜は少し不安になり、たまたま下校時刻に教室に残っていた転校生『雨村藤乃(あめむらふじの)』さんに声をかけます。

そして二人で心霊スポットに向かうのですが、特にとんでもない事件が起こるというものではなく心霊スポットの真相が判明したりもしますが、その過程を通じてとっつきにくいと思っていた転校生は落ち着いた雰囲気で話しやすく、やがて心を許せる『雨村さん』に移ろう様子は日常系癒しというジャンルで考えても秀逸な流れだと思います。

また水彩画のような柔らかい画風もどこか懐かしい街並みと、転校したばかりでこの街の思い出が無い雨村さんの不安感、そんな美人ではあるが優しく儚げな雨村さんと明るく元気な茜が二人の『新しい思い出』を紡いでいく距離感を柔らかく演出してくれます。

世間的に暗い気持ちになってしまった方には御一読をお勧めしたい名作です。

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