古武道至上主義のような人がいまして、
テレビなどで古武道の達人と称する人が体の使い方などを解説する時、必ずと言って良い程近代格闘技を否定します。

曰く『筋力ではない』
曰く『身体操作を間違っている』
曰く『古武道は実践主義』

僕は以前ブログで
こういった主張を真っ向批判しています。
収斂(しゅうれん)進化の機能差
https://www.seiki-office.jp/blog/uchimura/2022/02/11/

ちなみに『収斂進化』というのは【目的が同じなら最終的な形は同じようになる】生物進化の特徴の事です。

ただ『達人、名人』と呼ばれる武道家が全部インチキではないこともまた事実で、本物がいるからこそ一部の拝金主義者に不快感を感じているのですが、そんな心情に一石を投じてくれるのがこの

『寸勁って本当にあるの？』です。

著者は異世界転生漫画の原作者でもあり格闘技の心得も相当なものでファンタジーの世界に武道的理論を持ち込むなかなか斬新な手法です。

そして俗に『１インチパンチ』などと言われる超至近距離で相手を昏倒させるような打撃技が存在するのかと言えば『技術としては存在するが、それは特別なものではなく現代格闘技でも使用している技術のバリエーションに過ぎない』ものであること、あるいはごく軽い衝撃で人間を死に至らしめるような攻撃が存在するのかというと『非常に限定的な条件で実現は可能である』ということですが、これは実際に【心臓震盪(しんぞうしんとう)】と呼ばれる現象で、ボクシング用品のカタログにも心臓震盪予防プロテクターというのもがちゃんと販売されています。

つまり単に衝撃で倒すのではなく、こういった【現象】を引き起こすトリガーになる攻撃手法という意味では【ある】か『ない』かでいえば【ある】という事になります。

ただ途轍もない程にピンポイントの場所を正確に、しかも個人差も大きいような攻撃を技術として完成させることが可能かと言えば、再現性という観点からもそれはほぼ不可能という事になると思いますが【〇〇すれば△△になる】という到達点という意味では存在しますし、そういう場面が実戦で一度でも生じたならその技術は実在するという事になります。

とはいえ手も触れずに気の力で云々とか、指一本触れるだけで大男が吹っ飛ぶなどというのは基本的にインチキです(笑)

格闘技や武道の一つの楽しみ方としてお勧めの一冊でした。

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