生活保護受給者の戸別訪問をする担当者が
不正受給を許さないというロゴを入れたジャンパーを自費で作って仕事の際に着ていたというのが問題になっていますね。
小田原市は謝罪会見まで開いていましたが、ネットの論調はおおむね好意的にとらえているようで、
むしろ職員への同情や応援の方が多いような気がします。
さてこのニュースを見た時に僕が最初に思ったのは、
例えばこれが税務署の署員で『脱税は許さない』というジャンパーだったらどうでしょう?
僕は何とも思わないです。
むしろ歓迎です。
それはきちんと税金を払ってるから、後ろ暗いところがないからです。
ちなみに不正受給が問題視されるときによく出てくる論調として
不正受給は全体の数%なんだからそこばかり叩くのはおかしいという識者がいますが、それは違います。
その数字は不正受給が発覚した数字であって実数とはかけ離れていますし
数字が少ないから対策不要などと言うのは、極端にいえば「事故を起こす車は全体の数%しかいないのだから交通安全対策など不要」と言ってしまうような暴論ですよ
ただし、
セーフティーネットの意味合いや、
受給者の特性という意味で考えれば
上記の税金の例⇒だから気にする方がおかしいというのは『強者の論理』です。
不正受給といっても非常に幅が広く
例えば子供が親に楽をさせようと思ってこっそりアルバイトをした場合、
先に保護費を受け取っていれば差額は不正受給という扱いになってしまう場合もあります。
また自立しようと一生懸命に頑張る真面目な人ほど
性格的に余計なことで考えてしまうことも多く、
そもそも生活保護の明確な基準を受給者側がきちんと理解できていることも少ないわけですから
「もしかしたら自分は基準に該当しないのかもしれない」と考え、本来保護を受けるべき人が二の足を踏む危険性もあるわけです。
もちろんそこでも「二の足を踏むくらいなら本当の困窮ではない」という人もいますが、
限界って自分では分からないもので、真面目な人ほど限界を超えて頑張ってしまいます。
それに生活保護の『自立支援』は文字通り自立の支援であって最低限死なないというラインより少し上であるべきだと思います。
それらを踏まえて僕は今回のジャンパー事件は失敗だったと思っています。
それは真面目な人ほど無いはずのリスクを不安に感じてしまうという点以外にも
もともと不正受給するようなクズはあの手この手で審査をクリアします。
審査の甘い市町村に引っ越す奴だっているかもしれません。
また現状不正受給している連中を炙り出すのであれば
戦闘意思を表示することによって敵に警戒感を与えてしまいます。
相手の落ち度を見つけるときの基本は
調査していることを悟らせないことが肝要ですので
むしろゆるゆる感を演出してボロを出させる方が戦略的には正解です。
戦争などで
敵の利益になる行動のことを『利敵行為』といいます。
今回のジャンパー事件の本質はつまるところ
『手段が目的に向かっていない』事が問題だったと僕は考えます。
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