僕の好きなものといえば車とバイクとレザー物です。
ちなみに車とバイクは前時代的なほどに大排気量エンジンが好きです。
まぁ環境破壊の片棒担いでいると言われれば全否定もできない趣味ではありますが、趣味として乗ってる走行距離はそんなにないので勘弁してほしいところです。
そんな男の定番趣味の一つに腕時計がありますね。
僕も最近では社会人としてある程度の嗜みという範疇で腕時計をするようになりましたが、ほんの数年前までは興味が無く、時計に100万円超なんて狂気の沙汰だと思ってました。
今日日100円ショップで売ってる時計でもそうそう狂うという事はありませんし、スマホもあれば街中には時計なんていくらでもあります。
そして数万円も出せば世界最強の時計であるG-shockだって購入できます。
しかし時計好きの知人の言う「腕時計は時間を見るものではなく自分とセットで人に見せるものでもあり、善く在ろうとする人の歴史を腕に載せる行為なんですよ。」という言葉に軽く感心したというか、その考え方ってレザーグッズや車に関しても似たようなものなんですよね・・・ガソリンエンジンは当初は高性能を求めて排気量を大きくしていきましたが、やがて軽さこそ高性能のカギであることがはっきりし、小排気量でハイテク装備となり、やがて電子制御のモーターになれば、大きいエンジンの意義は味わいなどという何とも曖昧なものでしかありません。
革ジャンが防風性が高いとか、長持ちするとか、丈夫だとか言われたのも過去の話で、現代のハイテク素材は革などよりもはるかに軽く、強く、高性能、しかも安価です。
革財布なども人工素材で本革そっくりにすることだって可能ですし、クロコダイルの型押しも昔はおもちゃみたいでしたが今の型押しは本物と遜色なく、これも本物を求めるのは単なる自己満足以上の意味はありません。
時計も同じです。
歴史に残る天才時計技師たちがどれだけ『正確な１秒』を追及し続けても、いわゆる機械式時計という高級品の時計でも一日数秒ずれることは許容範囲です。
ところがクオーツの時計はもはや比べ物にならない圧倒的な精度に加え、電波時計の機能も追加されれば理論上ずれるという概念すらありません。
そして正確な時間を知らせるという性能に至っては１億円の時計よりも数万円の時計の方が高いわけです。
しかしそれでも複雑な機構を小さな箱に収め、完璧に近づけようとした歴史の積み重ねがそこにあるからこそ腕時計はステータス足りえるのだと思いますし、自己満足のカギになるのだと思います。
それは今後遺物になってしまうであろう大排気量エンジンや、命を着る、あるいは命を使うレザーアイテムにも通じる『善く在ろうとしてきた歴史』でもあると思います。
そんな気持ちで手に取ってみると
本来神の所有物だった『時間』を人間の手に収める＝ある種神に近付こうとした人間の歩みを、ただ正確な時間を求め、どんな手を使っても勝てない文明の利器が生まれたとしても、それでも数字でない何かを追及し続けた人の業に触れるのもまた清々しい読後感に繋がっていくのだと思います。
今回はそんな本『時計の科学』の御紹介でした。
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