初めに
2月24日に僕は以下のような投稿をしました。
大事な内容ですので本文引用します。
ーーーーーーー以下引用ーーーーーーー
先日ファイティングネクサスという団体のプロ興業に
ヒデズキックの後輩『駿太』が出場しました。
・・・対戦相手も付き合い長いというか知ってる選手ですので応援の心中もやや複雑ですが・・・
さて肝心の公式記録としては『グラウンド状態の相手に対する顔面への蹴り上げによる反則負け』ですが、実は僕も会場で見ていたのですが僕の席からは重要な部分がよく見えませんでした・・・
法律論でいうと『法は不知を許さず』という法謬(ほうびゅう⇒法律のことわざ)がありまして、簡単に言えばルールを知らなかった事は免罪符にはならないということです。
つまり仮にグラウンド状態の相手の顔面を蹴ってはいけないということを知らなかったとしても、やっぱり反則負けになりますよということです。
ただし、ルールは厳格に適用されなければなりませんので
単語で切り取った場合
顔面への蹴り上げというのは文字通りそのまま、ボールを蹴るように蹴っ飛ばすことですので間違えようがありません。
俗にサッカーボールキックなどとも呼ばれています。
次に『グラウンド状態』とは何かということになります。
これは単純に言うと『どちらか一方、または双方が立っていない状態』のことで、寝ている状態と言わないのは座っている状態もグラウンドだからです。
それではどういう状態がグラウンドかというと、これはそれぞれの団体でルールに細かく規定されていて、
ファイティングネクサスの場合はルールブックを抜粋すると
(1) スタートポジション
試合開始時やレフェリーが「ブレイク」をコールした後などのポジション。
(2) グラウンドポジション
片手と両足以外のからだの部位が床に着いたポジション(グラウンドポジションである
ためには、両手の掌/手首、またはその他のからだの部位が床に着いていなければならな
い)。
【参考1】グラウンドポジションになる場合
ⅰ)どちらか一方でも膝が床に着いている。
ⅱ)背中や尻が床に着いている。
ⅲ)どちらか一方でも肘が床に着いている。
ⅳ)両足と両掌が床に着いている。
【参考2】グラウンドポジションにならない場合
ⅰ)両足と片手が床に着いている。
ⅱ)両足と両手の指先が床に着いている(両手であっても、掌/手首まで接地しな
ければグラウンドポジションとは見なされない)。
(3) スタンドポジション
グラウンドポジションではないあらゆるポジション。
これを踏まえた上で試合の映像を見てみると
相手の顔面を蹴った瞬間は明らかにグラウンドではありませんでした。
そして蹴るモーションに入った時点でも相手はグラウンドではありませんでした。
少なくとも画像を見る限り僕にはそう見えました。
駿太はこのスタンドとグラウンドの境目は、場合によっては一撃必殺になる、あるいはされる場面ですから重要な場面だと想定して何度も練習をしてきました。
そして現実の試合でその場面が起こった時、一瞬の判断で作戦を実行しました。
格闘技の練習は極端に言えば『〇〇の場合は△△する』の組み合わせで、そういう意味では今回の駿太の行動は作戦通りの完勝だったはずです。
しかしレフェリーの宣告はグラウンド状態であるとの認定で試合自体は反則負け、会場では悪質な反則としてブーイングも飛びましたが、当の駿太は行けると確信を持った行動だったので複雑な表情です。
ひとまずルール上その場の抗議ではなく映像を再検証しての異議申立ということになりますので結果が覆る可能性も残っています。
間違いはどこでもありますので、間違ったこと自体を責めるつもりはありません。
しかし会場で駿太は心無いヤジも飛ばされました。
奥様も息子ちゃんも来ている中で、自分では正しいと確信を持った行為を否定されて叩かれました。
僕もその時は観客とはいえ先輩としてその場で抗議というかヤジに対する反論ができなかった=完全に確信をもってなかったのは申し訳ないですが、仮にこの結果が覆ったとしたら主催団体には公式サイトできちんと駿太に対して謝罪してほしいですし、会場で野次った観客も間違いに基づいて心無い言葉で傷つけたことを謝罪してもらいたいです。
繰り返しますが、
間違いは誰にでもあります、
だからこそその後の行動が大事なんだと思います。
叩いたことと同じだけの謝罪は最低限必要であるはずです。
ーーーーー引用ここまでーーーーーーー
試合後三好会長とも話して試合結果に対しての異議申立をすることになりました。
提訴のポイントとしては多少専門的なことも入りますので割愛しますが、簡単に言えば『あの場面は反則ではないので駿太の反則負けという結果は撤回してもらいたい。』というものです。
そして結果は以下の通り
2020年2月23日GENスポーツパレス大会第8試合 駿太vs鈴木淑徳 戦の提訴についての回答
駿太の反則負けという公式結果はノーコンテストに修正されました。
実は格闘技の試合で裁定結果が覆ることというのはほとんど無く、ある意味異例と言ってもいい結果でした。
またその時の状況を別角度のカメラで撮られた映像で確認すると、
1:攻撃のモーションに入った時は反則ではない
2:攻撃がヒットした瞬間でいえば反則
という非常に微妙な場面で、1の解釈なら反則ではないものの、それでは攻撃の開始から実際にヒットするまで十分な時間があった場合にそのまま勢いで当ててしまっても反則にならないのかと、場面によっては2の解釈もありだろうという話になってしまいます。
なので実際には個別の判断になることが多い問題です。
しかし今回の主催団体であるファイティングネクサスはヒットした瞬間でいえば反則状態ではあるが、その起点である攻撃開始時点において対戦相手は明らかなスタンド(=反則ではない)状態であり、結果としての偶発的な事故であるとして駿太の反則負けを取消し無効試合とする裁定を出してくれました。
また審査も非常に迅速で、決定後すぐに公式サイトでのアナウンスなど対応も良かったと思います。
武士道と騎士道、多少の違いはありますが戦士的規範っていう論点なら勝敗よりも重要なのが名誉だっていうのは共通してるところだと思います。
普段の一生懸命に練習に取り組んでいるのも見ていますし、際の場面の練習も念入りにしていたのを知ってるだけに会場での野次は僕も痛かったです。
勝ったと確信したところからの反則負けの裁定、ネット中継でも実況で「反則!反則!」と言われたこと、そして奥様や息子さんのに最高の勝ち方を見せようと意気込んでいたなかで「卑怯者!」と心無い野次を受けたことに対し、多少なりとも何かを取り戻せたならよかったと思います。
しかし世の中の常として、マイナス状態から0に戻したとしても自分の意思に関係なく負債には利息が付いてしまうものです。
その利息を取り戻すためには次の結果を出さなければなりませんが、この経験は駿太を格闘家としてだけではなく人間としてもより強くしてくれると思ってます。
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